【小説】僕の戦争と青い兵器 第三話 ドラえもん二次創作

Game Introduction

夜明け後の工業地帯。静まり返った廃工場の裏手で、僕たちは無言のまま車から降りた。 誰も言葉を発しなかった。 あの空き地を焼き尽くしたミサイルの爆炎と、上空に現れた巨大な青い兵器の影。 その記憶が、全員の胸に重くのしかかっていた。 「……アレが、そうだったんだな」 スネ夫がポツリとつぶやいた。 「丸い体、白い手、でっかい鈴みたいなパーツ。……あれ、どう見ても、ドラえもんだったよな」 「いや、あれは……もう“アイツ”じゃねぇだろ」 ジャイアンが吐き捨てるように言った。 「空飛んでミサイルばら撒いて、町ひとつ潰しかけたぞ。ありゃ、兵器だ」 「……だけど」 静香が低く声を漏らした。 「何かが……あの姿のまま、止まってくれてた気がした。撃たれなかった瞬間があったよ。気のせいかな……」 僕は、沈黙した。 思い出したのは、あの日の朝。 「君は、もうひとりでも大丈夫だね」 そう言い残して、彼は――いなくなった。 でも。 もしも、あれが本当に、ドラえもんだったのだとしたら。 そのとき、遠くからタイヤの音が聞こえてきた。 廃工場の正面に黒塗りのSUVがゆっくりと停まる。 無言で降り立ったのは、数人の兵士と……その先頭に立つ、一人の男だった。 「……先生?」 僕の口から自然と声が漏れた。 間違いない。小学校の担任だった、あの先生だ。 ただし今は、かつてとは違う軍服に身を包み、鋭い目で僕たちを見据えている。 「全員、無事で何よりだ」 彼は短くそう言うと、静かに続けた。 「改めて自己紹介をしよう。私は元君達の教師であり、現在は対猫特殊戦闘部隊日本支部の最高司令官である、我成栄一郎だ。君たちを“保護”する。そして、話さなければならないことがある。来てくれ」 *** 連れてこられたのは、工業地帯の地下深く。 かつての貨物線路を転用した軍事施設だった。 無機質な空間に、戦術ホログラムと操作端末が並び、 その中心にある円形の卓上モニターが、今の状況を映し出していた。 画面には、昨夜の空き地。そして――上空に現れた巨大な青い兵器の姿。 「これは、D.O.R.A-E.M.O.N」 先生が口を開いた。 「正式名称:Defense-Oriented Robotic Assistant - Experimental Model: Omnidirectional Nexus。多目的戦闘支援AI兵器だ」 僕たちは息を呑んだ。 「やつの目的が何かは、我々ははっきりと確信していない。しかし何者かの手によって、2032年――今の時代に送り込まれたのは事実だ。発明したのは未来の軍隊と言われている。」 「送り込まれた……誰が?」 スネ夫の問いに、先生は首を振った。 「現段階では判明していない。だが明らかなのは、D.O.R.A-E.M.O.Nが暴走していること。 そして、都市部への無差別攻撃を開始しているということだ」 ジャイアンが低く唸る。 「でもよ、あいつ……俺たちのこと狙ったよな? なんでだよ。俺たち、なんかしたか?」 先生はホログラムを切り替えた。表示されたのは、機体の戦闘記録と、そこに刻まれた識別コード。 「この兵器は、過去において特定の人物たちと長期間接触した記録を保持している」 「対象:野比のび太、剛田武、骨川スネ夫、源静香」 僕たちは目を見合わせた。 「それって……」 「そう。君たちだ」 「記録の詳細は不明だが、接触履歴の中で、何らかの“学習”が行われている可能性がある」 「そしてその影響が、今の挙動の不安定さに繋がっている可能性が高い」 静香がポツリとつぶやいた。 「もしかして、あのとき撃たれなかったのって……」 「そう判断している。よって――」 先生は言い切った。 「この兵器を止める、あるいは“接触”するためには、君たちの存在が不可欠だ」 卓上に、4枚のIDカードが並べられた。 刻まれた紋章は「対猫特殊戦闘部隊」。 未来兵器に対抗するために秘密裏に組織された、特殊作戦部隊の証だった。 「君たちを、正式に対猫特殊戦闘部隊にスカウトする」 部屋に、重たい沈黙が落ちた。 最初にカードに手を伸ばしたのは、静香だった。 「……彼が、どうしてあんなことになったのか。私は、知りたい」 「知った上で、……ちゃんと向き合いたい」 次にスネ夫が、静かにカードを手に取った。 「ビビってたけどさ……逃げてても、何も変わらない。だったら、少しでも近づきたい」 ジャイアンは唇を噛んだまま、カードをひったくるように取った。 「……アイツが本当に兵器になっちまったんなら、オレが正面からぶん殴ってでも止める」 僕は最後に、カードに手を伸ばした。 その重みが、過去と今を繋ぐように感じた。 「“またね”って、言いそびれてたんです」 「だから……その続きを、ちゃんと終わらせたい」 先生は、ゆっくりと頷いた。 「明日から、戦闘訓練が始まる。 射撃、索敵、移動、回避、すべて現実の戦場を想定した内容だ。甘さは通用しない」 「だが……心配するな」 「私が君たちにすべてを教える。我が校の生徒全員を救ったあの日と同じように」 ――先生は、かつて本当にそうした人だった。 猫型の侵略兵器が初めて現れた日。僕の学校の生徒をだれ一人傷つけず守りきり、ひとりで戦ってくれた。 あの日から、先生はずっと戦っていたのだ。 そして今、僕たちもそこに立つ番がきた。 ーーー続く

How To Play

概要欄みてね 予告トレーラー:https://scratch.mit.edu/projects/1196140771/ 1話:https://scratch.mit.edu/projects/1196376111/ 2話:https://scratch.mit.edu/projects/1196378868/ 3話:https://scratch.mit.edu/projects/1196394727/ 4話:https://scratch.mit.edu/projects/1196403447/ 5話:https://scratch.mit.edu/projects/1196529831 6話:https://scratch.mit.edu/projects/1196591459

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Negitoro-Samurai

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